丘野真(おかのまこと)とその妹・ひなたは、家の都合から、十数年前に離れた生まれ故郷・風音(かずね)市へと再び戻るところだった。生まれ育った街にあるのは、おぼろげな記憶。引越す時に女の子と交わした約束と、一緒に渡したハーモニカ。
故郷の学園に編入した彼らは、お調子者の同級生やその幼馴染みと共に、ごく普通に楽しい学園生活を送っていく。
ただひとつ、変わった点といえば、彼らを含め、風音市に住む人々は皆、ちょっと不思議な「力」を使えるということ。少し高く飛び上がれたり、そよ風を起こしたりといった、本当に小さなものではあったのだが。
そんなある日のこと。
忘れ物を取りに放課後の学園へと足を向けていた真は、ハーモニカの音を耳にする。そのメロディは、記憶のどこかにしまっていた幼き日の母の思い出と、もうひとつの想いを彼に思い起こさせた。
ハーモニカの音色に誘われるまま、隣の学園へと向かう彼は、夕暮れの中、ひとりの少女と出会った。
「想いは、遠く離れてても届くんだよ。そして想いを無くさない限り、また会えるの。…今、私たちがこうしているようにね」
そう言って微笑みながら真の方を振り向いたのは、思い出の中、こちらを見てにっこりと笑っていた少女。かつて離ればなれになった幼馴染み・鳴風みなも(なるかぜみなも)だった…。

